Mono/Fury − Manual

←Back

KORGのMono/Polyを再現したVST Synthです。クローンとして、オリジナルに忠実に作られており、音色も似た感触を持ちます。
オリジナルのマニュアルを見れば、同等の操作もできるわけですが、現在のシンセとは異なる作りから、解り辛い面があるので、具体的な操作ポイントとして、簡易マニュアルを作ってみました。



VCO BANK
この4つのVCOがオリジナルMono/Polyの名の由来で、モノシンセとして4つのVCOで重圧なサウンドが作れるだけでなく、それぞれ4音ポリとして和音が演奏できるモードがあるのです。
縦に並べるか、横に並べるかみたいなもんで、ああ、なるほどと理解できかと思われます。
しかし、実機では、事はそう単純ではなく、和音としては、かなり濁ったものとなり、あまり実用的ではなかったのです。ポリシンセの難しい時代でした。
まあ、それは実機での話。VST版では考える必要はないです。

左画像を縦割りで見ていきます。

◇TUNE、MASTERTUNE:全体のピッチ、以下、VCO2〜4までのピッチ調整です。

◇オシレータ部は、三角波、鋸歯状波(SAW)、PWM、PW、となっています。
サイン波がなく、あまりVSTでは見かけない三角波というのがありますが、これはSAWと比べると倍音成分が少なく、柔らかい音。

◇オクターブの切り替え、解り易いですね。

◇最後は、それぞれの音量、となります。

 


VCF - EG
フィルター(VCF)とエンベロープジェネレーター(ADSR)
今更説明の必要もないと思われますが、Mono/Polyのマニュアルから。

◇CUTOFF FREQUENCY:倍音削って丸い音に。

◇RESONANCE:上記CF付近の音を強調して音にクセをつける。ツマミを振り切ると自己発振をおこしサイン波となります。(VSTでは未確認)

◇EG INTENSITY:ADSR(EG)でカットオフ周波数を変化させるためのツマミ。中央より右に回すと、音色とEGの出力電圧が正比例し、左へ回すと反比例し特殊なサウンドが得られます。

◇KBD TRACK:鍵盤の位置に比例してカットオフ周波数を変化させます。音程が高くなるほど明るい音にするため。

◇VCF EG:VCFにおけるADSRです。音全体でのADSRではなく、VCFでの事なので、この設定によって、カットオフ周波数が変化します。それぞれのツマミは共通。

◇TRIGGER:下段にあるこのスイッチ、EG用のトリガー信号のモード切換え。
SINGLE:最初に鍵盤を弾いた時だけEGが動作し、その鍵盤を押したまま次の鍵盤を押しても音量が減衰していきます。アタックのある音色では鍵盤から指を離さないとアタックが効きません。
MULTIPLE:鍵盤を押すごとにEGが動作します。
これは、重要なので覚えておきたいところ

◇AUTO DUMP:これがちょいと特殊なんです。モノからポリ時代の名残みたいなもんで、オンとオフ、どっちがどっちと迷うと思います;;
オフの時、
三つの和音を引いて、二つ離して、指一本だけ残した状態でも三つの和音が持続します。
オンの時、引いた音だけの和音が持続します。こちらがノーマルな状態と思われますが、リリースタイムがなくなってしまいます。なので、オフが普通。和音の時のみなので、しかたないと。


KEY ASSIGN MODE
◇HOLD:文字通りホールド状態、音が出たままになります。まず使いません。
次から、モノ・ポリの選択ですが、単純な切換えではないので、よく読んでください。

◇MONO-CHORD MEMORY:なにもしないで、これをオンにしても意味はありません。使い方があります。
まず、ポリを選択!、そこで和音を押さえます。例えばドミソと。そのまま、このボタン(CHORD MEMORY)を押します、これで和音が記憶されました。モノモードで、一音弾いただけで、記憶された和音が鳴ります。
(電源オン内で、新たに記録されるまで持続)

◇UNISON:通常のVCO1〜4までが作動するモノモード。ピッチをズラすと厚みのある音が得られます。

◇POLY-UNISON/SHARE:4声ポリモードですが、単音と和音を弾いた時の音量感を調整するためのものです。
・U SHAREでは、ポリでも1音だけなら4VCO全てが鳴り、2音だとVCO1〜2とVCO3〜4に分担される、など、ある種の決まりをもって発音されます。詳しくはオリジナルマニュアルを参照。
・POLYの場合、1音がそれぞれ一つのVCOのみが担当となります。

この挙動がオリジナルに忠実にしたMono/Fury の特徴で、これまた時代の産物でもあり、今では、こんな仕組みのシンセはありません。ある意味独特なサウンドが得られるかも?
コードをメモリーして使えるというのは、得意技として使うこともあるでしょうけど、和製の分解は疑問です。
基本的にモノラルシンセとして使用、その場合、U SHAREモードでの使用が一般的と言えるでしょう。 


EFFECTS
耳慣れたVSTでのeffect、リバーブやらコーラスやらとは別です。
シンセ内部での制御におけるエフェクトというものです。

◇MG1:ビブラートやワウワウ、PWMの変調用信号として使用。
FREQUENCYでスピードの変化、選択したWAVEFORMの波形で変化します。

◇MG2:PWMやアルペジオのスピードコントロールのための低周波発信器です。FREQUENCYで同様にコントロールします。

◇PW/PWM:矩形波のパルス幅をコントロールします。PWMはVCOのWAVEFORMがPWMの時に、MG1、MG2、または、VCF EGによってパルス幅を変化させます。
PWはWAVEFORMがPWの時に手動でパルス幅を決定します。

◇EFFECTS:クロスモジュレーション(X-MOD)とシンクロ(SYNC)のコントロールを行います。
クロスモジュレーションはVCOの音声出力でVCOを変調する特殊な効果です。非整数倍の倍音を含む金属音のような音を作るときに効果的です。
X-MODのツマミで効果の深さを調整します。

シンクロはVCO1の音程に他のVCOの音程を強制的に同調させる効果です。結果、VCO2〜4はVCO1の倍音となります。

◇FREQ MOD:MODEがSINGLEの時はVCO2〜4までの音程が、DOUBLEの時はVCO2と4の音程がVCFEGあるいはMG1によって変化します。
シンクロやクロスモジュレーションと併せて使用すると、周期的に、または鍵盤を押すタイミングによって音色変化が得られます。

MODE:SYNC、SYNC&X-MOD、X-MODの切換えとSINGLEとDOUBLEの切換えを行います。
SINGLEモードはX-MODではVCO1の出力がVCO2〜4までを変調
SYNCはVCO2〜4が強制的にVCO1の音程に同期されます。FREQ MODはVCO2〜4の音程が変化します。DOUBLEモードはX-MODではVCO1の出力がVCO2を、VCO3の出力がVCO4を変調し、SYNCはVCO2がVCO1の音程に、VCO4がVCO3の音程に強制的に同期されます。FREQ MODはVCO2と4の音程が変化します。


OUTPUT/WHEEL

Volumeは説明いらないでしょうが、その右のHIGHとLOWは大雑把な切換えです。本来はいらないもの。

WHEEL部は、MIDI鍵盤に、これが付いてないと意味がないですね。INTENSITYで深さ調整をし、その下にあるモード切換えで、何に対して効果がでるか設定します。後はこれをDAWが記憶してくれるかどうかが問題です。
我が家ではWHEELが1つなので、左側部だけ。

 


最後に、Mono/Fury の作者が利便性のために追加した部分です。左下にある三角をクリックすると現れます。
これ、通常使用では、あまり必要ないかもしれません。オリジナルと関連した微調整みたいです。


ざっと、こんな感じ。アルペジエーターは自分が使う事ないので省略;
他のシンセとの違いは、だいたい理解できたと思います。オリジナルでの動作を受け継いだものが、解り辛いところもあり、時代的な動作であったりするので、このポイントに固定して、後は自由に音作り、というのを解れば、それでOKです。
4VCOのデチューンで強力な音作りをして下さい♪ 

 

←Back