Bauer stereophonic-to-binaural DSP-Manual

http://bs2b.sourceforge.net/
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bs2b(Bauer stereophonic-to-binaural)が何をするものかというと、ステレオ音源をヘッドフォンで聴く場合の音声補正をします。
Binauralという単語で解るようにバイノーラル処理によるものですが、ここで注意、バイノーラル処理というと、いかにも音が頭の回りを飛び交う立体音像化と思いがちですが、このソフトは、ある意味、逆の効果とも考えられます。

通常、ヘッドフォンで音楽を聴くと音像が頭の中に広がりますが、このソフトは、それを前面に定位する方向でサウンド処理します。
バイノーラルとは、ヘッドフォン専用の音像定位をするもので、音が前後・上下等、日常で耳にする音の定位と同じように感じることができる処理のこと。つまり、その前面に定位するように音を処理します。あまり詳しい技術的な事は言えませんが、処理後の音を聴けば、そんな感じで音が定位します。
何故、音が前や後ろから聞えるのかは、耳の形状と残響などによる音の遅延があります。それらをDSP処理によって加工するわけで、DSPはDigital Signal Processing、デジタル信号処理です。

処理された音は、若干音圧が下がり、音の輪郭が甘くなる傾向がありますが、何等かの処理をすれば劣化は当然あります。

さて、このソフトは、2つの利用法が考えられます。1つは、製作用の音の定位として、もう1つは、通常の音楽ファイルで、ヘッドフォン特有の音像定位を補正するためで、ヘッドフォン嫌いの人などにとっては聞きやすい音になるかもしれません。
製作用としては、これで作ったトラックと、VSTでBinaural処理したトラックとで、音像定位の幅が広がるので、効果として面白いものができるかもしれません。

VSTのVNoPhonesのように、クロスオーバーやディレイがあれば、補正にとどまらず、能動的な加工ができますが、このソフトは定位置としての効果を狙うことになります。Binauralは、ソフトによって効果が変わるので使い分けると面白いです。

注/バイノーラル : 通常のステレオ音源をヘッドフォンで聴くと、頭の中に定位しますが、バイノーラルは、頭の中ではなく、周囲に音像が散らばります。前後左右上下というように。
バイノーラル効果をヘッドフォンによる”頭の中に定位する音”と思うのは間違いです。
音の方向性は、人間の耳(耳たぶ)と知覚経験との総合で脳が判断するものです。バイノーラルは、それに近づけるための理論なので、良質な録音であれば、あたかも、その空間に自分がいるような錯覚を起します。
バイノーラルにとって、大事なのが耳たぶです。これが無いと、人の耳は単なる無指向性マイクと同じになってしまいます。しかし、耳たぶって、人によって形が違うこともあり、判断は人それぞれです。
耳たぶによって微妙に変わる音の世界なので、より精度の高いバイノーラル録音は、精密なダミーヘッドマイクに頼ることになります。自分の耳に装着するリアルダミーヘッドマイクは、構造的にバイノーラル効果は薄れます。
厳密には、自分の耳アナの奥にマイクがなければならず、単に耳の位置にあるだけでは、耳たぶの反射・遮音は薄く、頭という形そのものに頼るだけになるのが原因です。
バイノーラル録音で、実際に効果がよく解るのは、音の移動(ダミーヘッドの移動)による場合が多いのですが、現実の世界でも、どこから聞こえてくる音か判断する時って頭を動かしますよね、それと同じです。
音楽製作の場合、バイノーラル効果をパフォーマンス的な売りにするのではないなら、定位のポイントとして、捉えれば、より、可能性は広がると思います。


  TEST-SOUND

↑は自作曲のWire Trade Showの後半部分をbs2bで処理したものです。オリジナルと比べると効果が分かるでしょう。

 

ダウンロード

左画像の上段、緑の部分をクリックすると、下のページへ移動します。少ししたの方にあるので、スクロールすると表われます。

bs2b_convert-2.1.0-win32bin.zip が本体。
上にあるのはソースファイルなど。

使用法:
プログラムは、Windows用ではなくDOS用なので、コマンドライン専用です。
ファイルを解凍すると、BATファイルもありますが、これは使いません。
専用のBATファイルを作ります。
BATファイルは、拡張子が.BATとするだけで、実行型ファイルとなります。中身はテキスト、通常の文字です。
ここに、実行するプログラム名を記述するだけで、自動実行してくれます。ただし、実行するプログラム類は同じフォルダにあるのが条件。(パスで別なところのプログラムを呼び出すことも可能ですが、面倒なので省略)
bs2bを解凍したフォルダに、BATファイル、処理するWAVファイルを置くとよいでしょう。

BATファイルの中身:
bs2b_convert.exe 元ファイル名 加工後のファイル名

これだけです。
bs2b_convert.exeは、このファイル本体。半角スペースを開けて、元ファイル名、半角スペースを開けて、加工ファイル名となります。(オプション命令もありますが、とりあえず、これで)

まとめ
1.bs2bを解凍したフォルダに新規ファイル(テキスト文書)を作る。
2.テキスト文書をエディタ等で開く
3.bs2b_convert.exe 元ファイル名 加工後のファイル名←という1行を追加。もちろん、ファイル名は加工するWAVファイル名に変更する。それぞれ、半角スペースを入れるのを忘れずに。全角はだめ。
4.ファイルを保存する際に、ファイル名を変更する。拡張子はBATに変更する。

サンプル
bs2b_convert.exeと同じフォルダ内に解凍し、BATを実行(Wクリック)して下さい。

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