トラックダウンでの遅れと劣化
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◇トラックダウンでの遅れと劣化
環境:
PC=WindowsME、Pentium4、2.4G
サウンド=Sound Blaster(Audigy初期)
というように、古い環境ですし、結論を言ってしまえば、それほど気にする事もないのですが、新しいDAWであってもプログラムで書かれたものである事に変わりなく、その挙動を、それぞれの環境で認識しておくのも無駄ではないと思います。
まずは遅れ、これはDAWの種類によって様々ですが、何等かの変化はあるとみた方が自然でしょうか。
Pro Tools
Freeでは、Windowsのミキサーを通っている事もあって、1度のトラック(ミックス)ダウンで遅れます。
(1つのトラックを別なトラックへ、もう一度録音という事です)
Cubaseでは、Windowsミキサーは通らず、頭も揃えているような感じで、通常は、ほとんど問題ない程度ですが、敢えて10回以上録音したら、やはり変化はありました。
注:WAVファイルをDAWに取り込んで、それをまた、WAVに書き出すのではなく、DAW内部トラック間で録音を繰り返しています。
録音されたデータも自動でファイル化されているので、書き出すと同じと考えがちですが、録音という過程を通ることによる(PCとDAWの)動作検証という意味になります。単に書き出すのであれば、デジタルデータの移動でしかないので、意味はありません。
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15回の録音を繰り返したもので、左側が最初、右側が15回目、というものです。
これをみると、上部(左チャンネル)は、あまり変わらず、下の右チャンネルが時間軸で左方向へ移動して、頭が消えてしまっています。
スタート位置を、きちんと揃えるという、有り難いものでも、それは最初の処理がはじまる左部分ではよいのですが、右の処理がはじまる時には時間的な差ができてしまうという事でしょうか。波形も、やや変化しています。
左チャンネル部(上が初期、下が15回目)も、並べてみると、若干の遅れが出ていますが、これは聴感上では、全くわからない程度でしょう。
コンピューターは、内部にあるクロック=正確な体内時計を持っていますが、DAWでのワークバッファ等での処理過程で、やや曖昧な処理が起るという事でしょうか。 並列で正確な処理ではなく、所詮、順次処理を行うわけで、その誤差とも考えられます。最新のPC、OSでは起らない事を願います。
次に、実際の音を聴いてみます。
トラック間での録音は、ほとんど劣化がありません。これは内部でデジタル間コピーをしているためでしょう。
例えば、デジタルでも転送経路(ケーブルを通ったり)で劣化は起りますが、PC内部のため、ほとんど問題ないようです。
ただし、サウンド(オーディオ)ボードの違いにより差はあるかもしれません。
TEST
SOUND-1は、エフェクターは何も付けず、素のままで15回録音を繰り返したもので、1小節ごとに変わっていきます。
徐々にズレが生じてくるのが分かりますが、サウンド、特にハイハットなど、ほとんど劣化は、ないようです。
TEST
SOUND-2は、僅かにエフェクターをかけてみました。この場合エフェクターの処理で時間がかかり、遅れが顕著になっていく事が分かります。サウンドの質的には、これも劣化というほどのものは少ないようです。
TEST
SOUND-1
TEST
SOUND-2
結論として、音質の変化より、処理過程での時間的遅れがあるという事になります。これは、ステレオ録音の場合で、逆にモノラルであるなら時間的な遅れも少ないという事になります。
また、この実験では短いトラックでしたが、長い時間を要するトラックでは時間の経過に従って遅れがでる可能性もあります。
処理の遅れは、エフェクトで顕著になるので、それを考慮に入れるのは大事でしょう。
製作過程では、VST-effectをたくさんかければ、それだけCPU付加が大きくなるため、エフェクトをかけた状態で別のトラックに録音します。だけど、後で気に入らなくても修正不可能になるわけで、微妙な判断になることがあります。逆に、はっきり、これでよいとなれば、別トラックへの録音の方がよいし、時間的な問題が生じても対処はできます。